祖母に捧げる手紙

10歳で両親と離別してから、
祖母が私の母親代わりになりました。

戦争を経験して貧しい農家に育ち、
モノを粗末にすることが嫌いな人でした。

たった一粒の米にさえ、お百姓さんの想いが
どれほど込められているのか。

今までに何度聞かされたか分かりません。

最近、楽して収入を得ることを考える人が増えましたが、
祖母はその対極にいるような存在。

「働かざるもの食うべからず」を地で行くようなタイプで、
朝から晩まで熱心に仕事に取り組んでいたのを、
私も幼い頃からずっと目にしてきました。

特に私の母親代わりになってくれてから、
その仕事ぶりに拍車がかかりましたね。

既に70歳近かったことに加えて病弱な体なのに、
私たち兄弟を養うために体にムチ打って、
必死に働いてくれました。

体がボロボロになっても、愚痴や不平不満を言う姿を、
私は一度も見たことがありません。

それどころか自分のことよりも、
常に私たちの事を気にかけてくれました。

それなのに当時の私は思春期だったこともあり、
その想いを素直に受けることができなかった。

「うるせえ、くそババア!」

そんな暴言を吐いて、
あなたを傷つけました。

学校では授業参観が苦痛でした。

同級生の若いお母さんの中に混じって、
白髪頭の祖母がいることが本当に恥ずかしかった。

痛い足を引きずって、わざわざ来てくれたのに・・・

また、毎日仏壇に手を合わせては、
私たちの幸せを願い続けてくれました。

生活は確かに貧しかったけれど、
母親以上の存在でいてくれたのです。

昔の人だから食事も和食が中心なのに、
育ち盛りの私たち兄弟のために、
慣れない洋食にチャレンジしてくれました。

腰が痛い時、体調がすぐれない時も
弱音を吐くことなんか一度もなかった。

それどころか、自らの体がガンに蝕まれた時も、
最後まで人の幸せばかりを考えていましたね。

本当は苦しかったと思いますが、それを口にすることもなく、
自分のことより常に相手のことを優先していた姿を、
今でも覚えています。

私も昔に比べて経済的には確かに豊かになりましたが、
人間的にはまだあなたの足下にも及ばないと思います。

あなたに多くの愛情を注いでいただいた分、
これからは世のため人のために、
自分の残された人生を使っていきます。

私はあなたの孫として生まれたことを、
心の底から誇りに思っています。

今まで本当にありがとうございました。

第0章「IT起業でサラリーマンの7倍稼いで自由になった男のストーリー」
・第1章「祖母に捧げる手紙」
第2章「あがり症の口下手がトップセールスまで上り詰めた秘訣」